ガイドラインとインターネット文化


Copyright (c) アーリーン・リナルディ1995年
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インターネットは、多様な宗教・国民性・性別と体験を持った人々の様々な集団によ ってつくられた独自の文化を急速に成長させています。インターネットは、俗に「サイバー・スペース」といわれる、世界に広がった主張とアイデアの「るつぼ」なのです。イ ンターネット上にあるリソースを利用している人々は、自分自身のことを「ネチズン」(ネットワーク 市民)と呼びます。全く異なった社会的・文化的革命を人々の新しいコミュニティに もたらす資格を彼らは持っているのです。彼らは電子の開拓地の冒険者です。そこで は私たちが知っているように、個人の声によって電子的なコミュニケーションの未来 を変えたり形作ったりすることができるのです。サイバー・スペースを探検し発見す るのに「採掘する」とか「サーフィンする」「情報スーパーハイウェイをドライブす る」 などという言いまわしをよく使います。 インターネットは世界的な情報とコミ ュニケーションが常に広がり発達し続けていく場所なのです。どのような文化であっ ても、ガイドラインを決めてそこに住む人々をつなぎ止める習慣が存在するものです。

私がはじめてインターネットを使いはじめた1990年には、インターネットを使ってい る人はほとんどなく、もちろんリソースもほとんどありませんでした。ただ当時、イ ンターネットを使っている時に、利用者が従いまた受け入れなければならないあるや り方、暗黙の「了解事項」がありました。もしこの「了解事項」が破られた場合は、 利用者は「火あぶりにあう」(flamed;理屈っぽく攻撃的な反応の電子メールを受け取るとい う意味のネット用語です) か、もしくは「規則」を著しく破った場合にはイ ンターネット接続できなくなるのを覚悟しなければなりませんでした。今日リソース が拡大し、不明瞭な「了解事項」をよく理解していないオンライン(ネットにやってくる)人口がどんどん増えているとはいえ、この規則は変わっていません。

何年か前に私が電子メールとユースネット[訳者注:ニュースグループのこと]を利 用しはじめたときに、単純な、しかしまったくの「誤り」を犯したことがあり、からかっ た調子の、あるいはひどく叱責した調子の電子メールで、徹底的に厳しく批判されました。私 の犯した「単純な誤り」とは次のようなものでした。

- メールの内容を全て大文字で書いた(たとえば"SHOUTING!"のように)

- あるオンライン会議のグループへの登録依頼を、参加者の追加/削除を電子 的に行っているリストサーブではなく直接リストに送ってしまいました。会議グルー プへの参加を申し込みますという内容で始まる私の個人的な電子メールを1,000人以 上の人々が受け取ってしまいました。 私はその間違いに対しての憤りのメッセージを 多数受け取とりました。(参加登録の詳細はリストサーブに送られます。グループ 全体全体が読む意味のあるメッセージだけをリストに送るべきです。)
[訳者注:例外的にリストによる参加登録を受け付けるグループもあります。詳しく は「リストサーブ/メーリングリスト/会議グループ」 の項を参照してください。]

- 近くに住んでいる差出人のメッセージに個人的に答えた内容のメールを、本 人に送るつもりでユースネットのグループに流してしまいました。それは「いっしょ に昼食でもとりながら、この事について話し合おうよ」というようなものだったので す。さて、このユースネット・ニュースグループを読んでいる誰にでも私が「おごっ てくれる」のではないか、と信じこんだ手紙を私はかなりたくさん受け取りました。 (ここで重要な点は、個人的なメッセージは、全リストにではなく個人の電子メール ・アドレスに送るべきだということです。)

私は、電子コミュニケーションとつきあうときの「新米のような」接し方を終わらせ てくれるようなオンライン・ガイドがどこかにあるのではないかと探し始めました。 ちょうど同じころ、電子媒体を通してコミュニケーションを利用しようとする人々の ために、大量に流れる個人的な会話やグラフィカルな創造性を発揮した手紙を制限す るようにガイドラインを定めようとする人が、インターネット上で何人か現れてきま した。形式的な手紙を作成するときに標準的なワープロのパッケージ・ソフトが備え ている「ベルと笛」[訳者注:いわゆる文字飾り機能 ]は、電子メールの文章には許 されません。電子メールの国際標準の形式はASCII、もしくは「味付けなしのバニラ」 ASCII[訳者注:日本ではプレーン・テキストなどと表現されます]として一般には 知られています。インターネットで強調文字つきの電子メールを送ろうとしても、ア ンダーラインやボールド、イタリックなどを目立たせるように使うことはできないの です。また、句読点のつけることも論点を普遍的にあらわすために必要です。
[訳者注:このほか、日本語の文章では機種依存文字が使われていないか注意してく ださい。丸付き数字やローマ数字、一部の特殊記号などはJISでは規定されていない 文字です。自分の機種では表示されていても、他の機種では異なった文字が表示され てしまうことがあります。半角のカタカナもインターネット経由では使えません。]

私がオンラインでカバーできなかったガイドラインの多くはユースネットと電子メー ルについてですが、答えられなかった多くのリソースについての質問はインターネッ ト上で得ることができます。フロリダ・アトランティック大学(FAU)で教職員向けに インターネットの講習を行った時に、私自身の経験やネットワーク・エチケットにつ いてつくられた他のオンラインの文書を使って、新しくガイドラインを作り、私のコ ースを選択した人々の助けとなるようにすることにしました。私はまたインターネッ ト上で利用できる異なるほかのリソース、すなわちFTP、Telnet、リストサーブにつ いてのガイドラインも作成しました。文章が簡潔で、要点を得、「すべきこと、すべ きでないこと」について過大にはならないように心掛けました。さらに、インターネ ットの顔は変わり続けていますから、サイバースペース自体が変化し成長するように 、文章も変更しやすいものをと望みました。

私は「ネット・トレイン」というオンラインの議論グループに助言とコメントとを求めまし た。ネット.トレインのメンバーは主に世界に広がるインターネットのトレーナ達で、 インターネット・リソース上の多くの組織・機関で私のように他人を訓練しています。

ネット・トレインのメンバーの助言を得て、私の体験や他のオンライン文書から、 私は「ザ・ネット:利用者の指針とネチケット」をつくりあげ、維持しています。 この文書の本来の役割は大学内での利用です。この文書が様々な形式でオンライン で入手できる結果、世界中のニュースレターや雑誌、トレーニング・プログラム、書 籍へ引用などに紹介され続けています。

このガイドラインが表現の自由というインターネットの趣旨を減じるような法律や 規則だとは誤解しないでください。むしろこのガイドラインは、一般的でしばしば繰 り返される質問への有益な助けとなるヒント、または世界的な「標準」になることを 意味しているのです。本ガイドラインはリソースの乱用と考えられることをインター ネットの利用者に知らせ、インターネットを通して情報にアクセスしたり送ったりす る場合にいかに利用者に責任があるかを知る助けとなります。

それぞれの組織がインターネット・リソースを使用する場合、組織や他のネットワー クを利用する時の望ましい行動基準を利用者に規定し通知すべきです。組織の方針を 守らなかった場合の懲罰の基準も規定すべきです。これらのインターネットの利用は 、ネットワーク利用に関するその組織のネットワーク利用規定に対する乱用、あるい はその地方あるいは州・国家・国際法に対するインターネット違反行為に対して責任 があります。

他者に対して責任を負えない、あるいは礼儀を欠いたり、他人との交信や共有が許され ている情報のリソースを乱用する利用者は、インターネット社会にリスク(危険) をもたらし、これらの行為は懲罰を与えるに値します。インターネット社会は個人や集団 の「声」で、教育し、通知し、時には乱用の現行犯に対して「激情の(フレーム) 」メッセージを出したり、ネットワーク管理者に連絡をして排斥します。責任を持って振 る舞うことや一般的な習慣に従うことにより、利用者は公開された交流、 情報、そしてリソースへの旅が可能になります。そこはサイバー・スペースと呼ば れる電子の新開拓地へのまたとない冒険を与えてくれるのです。

オンラインのガイドを入手する方法を以下に示します。


ザ・ネット:利用者のガイドラインとネチケット――アーリーン・リナルディ

入手情報


WWWによる
URL: http://www.fau.edu/faahr/netiquette.html
FTP による
ロケーション   FTP.LIB.BERKELEY.EDU /pub/net.training/FAU

Netbrochure.ps

パンフレット形式のネチケット文書、これはポストスクリプト・プリンタで2ページ にプリントされます。トレーナはパンフレットに見える形式に折り畳んでコピー機で 複写してもかまいません。注意:A4版1枚に印刷するためには7ポイントのフォ ントを用いる必要があります――読むためには拡大鏡が必要ですが。

Netiquette.ps

ポストスクリプト形式のネチケット文書。9ページあります。

Netiquette.txt

ASCII 形式のネチケット文書。


電子メールによる
以下の1行のコマンドを次のアドレスへ送ってください。

almanac@esusda.gov

send docs-gen rinaldi-netiquette


GOPHER による
TRAINMAT.NCL.AC.UK 5、6、1の順に選択
GOPHER.IC.MANKATO.MN.US 9、7の順に選択
ESUSDA.GOV 8、17、20の順に選択
追加、ご意見、ご助言、ご要望がございまし たら、ここをクリックして RINALDI@ACC.FAU.EDU に電子メールを送ってください。
英語原文 アーリーン・リナルディ 1995年3月1日更新
日本語訳 杉崎 忠久       1995年12月28日更新